うどん屋さんのサイドメニューなどで「かしわ天」という天ぷらのメニューを見て、思わず注文してしまうことはありませんか?
鳥の天ぷらなのですが、「なんだろう?」と思いますよね。
- 鶏肉がかしわと呼ばれる理由は?
- かしわの由来は?
- 鶏肉とかしわの違いは?
などについてお伝えしていきます。
鶏肉がかしわと呼ばれる理由は?
鶏肉がかしわと呼ばれる理由としては
- 鶏肉を隠語で「かしわ」
- 日本在来種の「黄鶏」をかしわ
- 地域によって鶏肉をかしわ
などが考えれます。
①鶏肉を隠語で「かしわ」と呼ばれていた
日本では元来、食肉の習慣がありませんでした。
仏教伝来以降は獣肉食自体が敬遠され、特に江戸時代の五代将軍徳川綱吉の「生類憐みの令」が発令されてからはタブーだったそうです。
しかし、美味しいものを食べるのが好きなのは人間のサガ。
鶏は柏(かしわ)と、色にちなんだ植物の名前を付けて、隠語で呼んでいた時代があったと言われています。
隠語とは、特定の集団内だけで通じる言葉で、鶏肉とわからないように、「かしわ」と呼んで食べていたのです。
②日本在来種の「黄鶏」をかしわと呼んでいた
また、もともと、日本在来種の褐色の色の鶏を「黄鶏」と書いて「かしわ」と呼んでいました。
葉っぱが茶色く変色した柏の葉が、鶏の茶褐色の羽根に似ていたからです。
③地域によって鶏肉をかしわと呼んでいた
江戸の後期になると鶏肉食は一般化していき、関東では軍鶏(しゃも)、関西ではかしわを食べるのが一般化していたそうです。
それが鶏肉一般をさす言い方に変化していったのだとか。
本来は白い鶏や軍鶏は鶏肉で、かしわは「黄鶏」をさす言葉ですが、一般的な鶏肉も「かしわ」と言われます。
特に関西では在来種の黄鶏を昔から食べていたこともあって、鶏肉=かしわと呼びます。
ただ、方言ではありません。関東でも通用する、広範囲な呼び方です。
ちなみに香川県や岡山県、兵庫県播州地方では老鶏(特に排卵を終えたメス鶏)の肉をかしわ肉と呼んでいます。
かしわの由来?
鶏肉をかしわと言う由来として
- 葉っぱが茶色く変色した柏の葉が、鶏の茶褐色の羽根に似ていた
- 神社で柏手(かしわで)を打つ姿が鶏の羽ばたく姿に似ているから
- 宮中の料理人を膳(かしわで)と呼んだから
という由来もあります。
パンパンと手を叩く様が鶏に似ていますね。
そして、昔の肉は高級品だったため、取り扱う宮中のコックさんたちにちなんで呼んでいた、という説です。
鶏肉以外の隠語は?
また、鶏肉の他にも隠語があります。
- 馬肉は桜(さくら)
- 鹿肉は紅葉(もみじ)
- イノシシ肉は牡丹(ぼたん)
とも言います。
今でいうジビエ(獣肉)ですね。
こちらも、生類憐みの令の際に庶民やお肉を取り扱う業者の方々が作った隠語です。
なぜ花の名前がついているのかというと
- 馬肉はピンク=さくら
- 鹿肉は赤=もみじ
- いのしし肉は赤=ぼたん
という事です。
肉の表面の色を、花になぞらえたのですね。
肉ではなくて植物だという事にして、ひそかに流通していたのです。
他にも
- 春の馬肉は脂が乗って美味しいからサクラという
- 花札の10月の絵柄に鹿と紅葉が一緒に描かれているので、鹿=もみじと呼ぶようになった
など、諸説あります。
そしてイノシシ肉はボタンとともに「山鯨」という隠語もあります。
当時は鯨が良く食べられていたので、親しみやすいようにつけられました。
鶏肉とかしわの違いは?
鶏肉とかしわとの違いとして、
- 日本在来種の茶色のにわとり(黄鶏)がかしわ
- その他の一般的な鶏肉を鶏肉という
という事です。
現在は、一般的な鶏肉も「かしわ」と呼ばれています。
鶏とはニワトリの事で、ブロイラー(養殖種)、地鶏などを含みます。
一般的によく食べられているブロイラー(英語でbroiler)は肉鶏の一品種で、食肉専用、大型飼育用の雑種鶏の総称です。
昭和40年ごろにアメリカから日本へブロイラー用のヒナが輸入されました。
鶏肉と鳥肉の違いは?
また、「鶏肉」と「鳥肉」との違いですが、
鶏肉は、キジ科のニワトリの食肉を指します。
鳥肉は、ニワトリの肉も含みますが、それ以外の鳥の肉を鳥肉。
日本でも、キジやカモ、シギやウズラなど、ニワトリ以外の野鳥を食べる風習があります。
そちらの肉も含めて、鳥肉なのですね。
また、天然記念物に指定されているにわとり。
- ニワトリでも軍鶏(シャモ)
- 同じニワトリの仲間である烏骨鶏(ウコッケイ)
- 比内鶏(ヒナイドリ)
- 薩摩鶏(サツマドリ)
などがいます。
天然記念物でも、食用として管理されていれば食べることができます。
また、天然記念物でも雑種になると食べることが出来るのです。
比内鶏⇛比内地鶏・薩摩鶏⇛薩摩地鶏
地鶏は名古屋コーチン、土佐地鶏、比内地鶏、薩摩地鶏ですね。
一般的に地鶏という表示をするのには品種、飼育期間などの条件があります。
規定に基づいて厳選飼育されているのです。
鳥肉の他の呼び名、「チューリップ」とは?
ちなみに、鳥肉の呼び名として、「かしわ」の他にチューリップがあります。
赤い花の名前としては、ぼたんやもみじなどと同様、肉の隠語に似ているのですが、こちらは鶏肉の加工の仕方になります。
手羽元か手羽中に切れ目を入れて骨を一本抜き、肉をひっくり返してチューリップの花のような形状にまとめたものです。
主に唐揚げにしたものを指します。
先がこんもりとした感じが、チューリップの形に似ていますね!
昔は手羽元が比較的安価だったため、よく見られました。
ですが、今はさらにお安い外国産のムネ肉やモモ肉などに押されて、チューリップチキンはあまり一般的ではなくなったようです。
骨付き肉も、より大きい部位が主流ですね。
でも、チューリップは片手で食べられるし、お子様にも食べやすいのではないでしょうか。
クリスマスの時期にぜひ、作ってみてはいかがでしょう。
まとめ
鶏肉がかしわと呼ばれる理由や由来は?についてはご参考になったでしょうか。
鶏肉の別名「かしわ」には面白い由来がありました。
美味しい肉を食べたい気持ちが、面白い隠語を産むのですね。
簡単にまとめると
鶏肉がかしわと呼ばれる理由は?
- 鶏肉を隠語で「かしわ」と呼んでいた
- 日本在来種の褐色の色の鶏を「黄鶏」と書いて「かしわ」と呼んでいた
- 地域によって鶏肉をかしわと呼んでいる
かしわの由来は?
- 葉っぱが茶色く変色した柏の葉が、鶏の茶褐色の羽根に似ていた
- 神社で柏手(かしわで)を打つ姿が鶏の羽ばたく姿に似ているから
- 宮中の料理人を膳(かしわで)と呼んだから
鶏肉とかしわの違いは?
現在は、一般的な鶏肉も「かしわ」と呼んでいるが本来は違っていました
- 日本在来種の茶色のにわとり(黄鶏)がかしわ
- その他の一般的な鶏肉を鶏肉という
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