エスカベッシュ、マリネ、カルパッチョ、コンフィなど…カタカナの料理名は溢れるほどです。
どれがどんな料理で何が何なのか、明確に理解している人はかなりのグルメか料理人か。
そんな様々な料理名の中でも良く耳にするエスカベッシュと南蛮漬け
どちらも漬け込んで作る料理ですが、
エスカベッシュと南蛮漬け、この二つの料理の違いは何なのか解説していきます。
また、
- エスカベッシュと南蛮漬の語源
- エスカベッシュとマリネとの違いは?
- マリネとカルパッチョの違いは?
についてもお伝えします。
エスカベッシュと南蛮漬けの違いと語源は?
エスカベッシュと南蛮漬けの違いは?
エスカベッシュも南蛮漬けもお酢で漬けた物で、同じような酢漬け料理です。
ですが、エスカベッシュと南蛮漬けの大きな違いは調味料にあります。
南蛮漬けに入る醤油・みりんは、エスカベッシュには使いません。
和風にアレンジしたエスカベッシュには、醤油など使いますね。
魚などを油で揚げてから液に漬け込んで作るエスカベッシュは、私たちの良く知っている「南蛮漬け」と似ています。
マリネ液に入れる香辛料や酢が洋風なものがエスカベッシュです。
日本で手に入れることが出来る香辛料や調味料を使って、エスカベッシュを応用したものが南蛮漬けと呼ばれています。
白身魚や淡泊な味の魚が南蛮漬けに合います。
アジの南蛮漬け・ワカサギの南蛮漬けなどが有名ですね。
エスカベッシュ
揚げるか茹でた魚・肉類に塩・オリーブオイル・ワインビネガーまたは柑橘類の果汁・ニンニク・唐辛子などで漬け込んだ料理。
南蛮漬け
揚げた魚や肉などを、醤油・酒・酢・みりん・唐辛子・野菜などで漬け込んだ料理。
エスカベッシュの語源や歴史は?
エスカベッシュは、アラブ料理のal-sikbaj(アシカバッジ・アルシクバジなど)でペルシア語のsikbaが語源です。
「al-sikbaj」は、肉類に甘味料(蜂蜜・グレージュースなど)と酢で調理された物で、現在アラブでは食べられていません。
sikbaの「sik」が酢「ba」が食品の意味です。
8世紀ごろスペインのイベリア半島は、イスラム教徒のムーア人の支配下にありました。
その時にエスカベッシュ「escabeche」としてスペインに伝わったと言われています。
その後、ポルトガル・フランス・イタリア・フィリピン・ジャマイカ・日本など世界中に広がっていきました。
南蛮漬けの語源や歴史は?
南蛮漬けの語源は?
南蛮渡来の料理ということで「南蛮漬け」という名前になったのです。
その他の南蛮渡来の料理として「天ぷら」などがあります。
ポルトガル語の「テンポーラ(temporas)」が語源です。
ところで、エスカベッシュと南蛮漬けは似ていますね。
なぜそれほどまで似ている料理なのでしょうか。
そこに南蛮漬けのルーツがあります。
戦国時代に種子島にポルトガルの船が漂着したことをきっかけにして、日本には西洋の文化が入ってくるようになりました。
当時ポルトガルやスペインのことを「南蛮」と呼んでいた日本に珍しい料理もやってきた、その一つが「エスカベッシュ」です。
日本では保存方法として塩漬けにするという調理法は浸透していましたが、この時、酢漬けも保存ができるという事を知りました。
そこで、日本でも手に入る調味料を使って和風のエスカベッシュが作られるようになりました。
エスカベッシュと南蛮漬けが似ている理由はここにあったのです。
南蛮から伝わったお菓子として、カステラ・金平糖などがあります。
マリネとエスカベッシュの違いは?
マリネとエスカベッシュの違いは?
マリネは、素材をそのまま漬け込む調理法。
エスカベッシュは、素材を揚げるなどのひと手間加えてからマリネする調理法です。
エスカベッシュ・南蛮漬けもマリネの仲間です。
理由としては、マリネには「漬ける」という意味があるのです。
料理の名前というよりも料理の行程を表す言葉で、フランス語で漬けるという意味の「マリナード」から由来します。
語源はフランス語の「マリン(海)」で、もともと塩水に食材を漬けたことがマリネの始まりといわれています。
現在では肉や魚、野菜などをレモン汁や酢などで作った液に漬け込み、柔らかくしたり
味や風味を加えたりして、そのまま食べたり
マリネ液に漬け込んだ食材を焼いて食べたりと、バリエーションも豊富です。
一方エスカベッシュは地中海料理の1つで
揚げた魚を調味液に漬け込んで作る一品を指し、スペイン料理ではタパスという小皿料理のメニューの1つとして広く親しまれています。
もともと食材を保存することが目的で生まれたマリネです。
時間のある時に作り置きするメニューとしても、とても便利でおいしい調理方法ですね。
マリネとカルパッチョの違いは?
マリネは香辛料などを加えた液に漬け込んで作る料理の行程です。
揚げた魚などをマリネする料理がエスカベッシュ。
それに対してカルパッチョは少し様子が違います。
カルパッチョはマリネのようにしっかり液に漬け込むことをしません。
また、エスカベッシュのようにしっかり加熱調理することもしないです。
カルパッチョは、イタリア料理のメニューの1つです。
生の牛肉を薄切りにして、その上からオリーブオイルやパルミジャーノなどをかけて食べます。
マリネやエスカベッシュとは異なる料理ととらえたほうが良いです。
どちらかというとサラダのドレッシングに近い感覚かもしれません。
カルパッチョの名前の由来については、諸説あります。
- イタリア人の画家ヴィットーレ・カルパッチョという人が好きだった料理
- カルパッチョさんの絵の色彩に似ているから
生の魚を食べる文化のないヨーロッパでは、今のように魚介類をカルパッチョで食べることはしませんでした。
魚介類のカルパッチョは生の牛肉を食べる習慣のない日本で生まれ、広く知られるようになったのです。
まとめ
エスカベッシュと南蛮漬け、マリネ、カルパッチョ、などの違いはお分かりいただけたでしょうか。
カルパッチョ以外は酢漬けにすることで保存食になるという目的があります。
フランス料理には、コンフィというオイルに漬け込む料理もあります。
フランス語で「保存する」という意味の confire が語源。
コンフィもオイルに漬けることで長期間保存できるようにした調理法です。
昔の人々が食品の保存方法を考えてくれたおかげで、現代の私たちがおいしい料理を味わうことが出来ているのですね。
簡単におさらいすると
エスカベッシュと南蛮漬けの違いは?
- 同じ酢漬け料理でも、エスカベッシュと南蛮漬けの大きな違いは調味料
- 南蛮漬けに入る醤油・みりんは、エスカベッシュに使わない
エスカベッシュの語源
- ペルシア語のsikbaが語源
- sikbaの「sik」が酢「ba」が食品の意味
南蛮漬けの語源
- 南蛮からやってきた料理ということで「南蛮漬け」
- エスカベッシュが由来
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